「米粉を買ってみたけれど、思ったような仕上がりにならなかった」そんな経験はありませんか。
実は、米粉にはいくつもの種類があり、原料や加工方法、向いている用途がそれぞれ異なります。小麦粉に「薄力粉」「強力粉」といった使い分けがあるように、米粉にも適切な選び方があります。
この記事では、米粉の種類ごとの特徴や用途、選び方のポイントを整理します。スーパーや通販で迷わず選ぶための基準を、わかりやすく解説します。
米粉の種類は大きく分けて「うるち米系」と「もち米系」の2つに分類される
米粉を正しく使い分けるうえで、まず押さえておきたいのが原料となる米の違いです。
米粉は、大きく分けてうるち米(私たちが普段食べているお米)を原料とするものと、もち米を原料とするものの2系統があります。見た目は似ていても、性質や仕上がりは大きく異なります。
この違いを理解せずに選んでしまうと、パンが必要以上にもちもちしたり、焼き菓子がべたついたりと、仕上がりに影響が出ます。まずは「何の米から作られているのか」を確認することが、失敗を防ぐ第一歩です。
うるち米系の米粉とは
うるち米は、私たちが日常的に食べている一般的なお米です。このうるち米を原料とした米粉は、比較的さらっとした仕上がりになるのが特徴で、パンや焼き菓子、揚げ物など幅広い料理に使われています。
特に近年は、粒子を細かく製粉したタイプが増え、グルテンフリーのパンやスイーツにも活用されるようになりました。うるち米系の米粉には、主に次のような種類があります。
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名称 |
特徴 |
主な用途 |
|---|---|---|
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上新粉 |
うるち米を水洗い・乾燥後に製粉。粒子はやや粗めで歯切れがよい |
団子、柏餅、草餅、ういろう |
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製菓用米粉(微細粉) |
非常に細かく製粉。口当たりがなめらか |
ケーキ、クッキー、マフィン、パンケーキ |
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製パン用米粉 |
パン向けに加工されたタイプ。商品によってはグルテン添加タイプもある |
米粉パン、ピザ生地、フォカッチャ |
※ 製パン用は「グルテンフリー」タイプかどうか必ず確認するのがポイントです。
もち米系の米粉とは
もち米を原料にした米粉は、強い粘りと弾力が特徴です。うるち米系とは性質が大きく異なり、もっちりとした食感を活かす和菓子に多く使われます。
焼き菓子やパンに使うと想像以上に粘りが出るため、用途を誤ると失敗につながることがあります。もち米系の代表的な種類は以下の通りです。
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名称 |
特徴 |
主な用途 |
|---|---|---|
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もち粉(求肥粉) |
もち米を水洗い後に製粉。しっとりなめらか |
大福、求肥、もちもちドーナツ |
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白玉粉 |
もち米をすりつぶして沈殿・乾燥。つるっとした食感 |
白玉団子、みたらし団子、ポンデケージョ |
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道明寺粉 |
蒸したもち米を乾燥させ粗く砕いたもの。粒感が残る |
桜餅(関西風)、おはぎ |
米粉の種類を選ぶときに最も大切なのは「何を作りたいか」から逆算すること
米粉選びで失敗する最大の原因は、「米粉ならどれも同じ」と考えてしまうことです。
米粉は見た目が似ていても、粒子の細かさや粘り、吸水性が大きく異なります。その違いを理解せずに選ぶと、仕上がりに影響が出ます。
例えば、ふわふわのシフォンケーキを作りたいのに上新粉を使うと、粒子が粗いため生地がきめ細かくなりません。反対に、歯切れの良い団子を作りたいのに製菓用の微細粉を使うと、やわらかくなりすぎて形が崩れやすくなります。
だからこそ大切なのは、「どの米粉を選ぶか」ではなく、「何を作りたいか」から考えることです。以下に、用途別のおすすめ米粉をまとめました。
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作りたいもの |
おすすめの米粉 |
選ぶ理由 |
|---|---|---|
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パンケーキ・ケーキ |
製菓用米粉(微細粉) |
粒子が細かく、きめ細かい生地に仕上がる |
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米粉パン |
製パン用米粉 |
パンに適した吸水率と膨らみやすさ |
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団子・柏餅 |
上新粉 |
程よい歯ごたえと弾力が出る |
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大福・求肥 |
もち粉 |
なめらかで伸びの良い食感になる |
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白玉デザート |
白玉粉 |
つるっとした独特の口当たり |
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天ぷら・揚げ物の衣 |
製菓用米粉 または 上新粉 |
油を吸いにくく、軽い仕上がり |
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とろみ付け |
製菓用米粉(微細粉) |
ダマになりにくく均一にとろみがつく |
失敗しないためのポイント
パッケージの裏面に「用途」や「推奨レシピ」が明記されている製品を選ぶと、失敗のリスクは大きく減ります。特に初心者の方は、「製菓用」「製パン用」と用途がはっきり書かれた米粉から始めるのがおすすめです。
米粉の種類によって「粒子の細かさ」と「吸水率」は大きく異なる
同じ「米粉」でも、メーカーや製法によって粒子径(粒の細かさ)と吸水率(水を吸う力)には大きな差があります。この2つこそが、レシピの仕上がりを左右する最も重要なポイントです。
見た目は似ていても、粒子の違いによって食感や扱いやすさはまったく変わります。

粒子の細かさが仕上がりに与える影響
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微細粉(製菓用・製パン用):粒子径はおよそ60μm以下。非常に細かく、きめ細やかな生地を作ることができます。ケーキやパンなど、ふんわり仕上げたい料理に適しています。小麦粉に近い感覚で扱えるタイプです。
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上新粉:粒子径は約130〜150μm。やや粗めで、歯切れや噛みごたえが出やすいのが特徴です。団子や柏餅など、しっかりとした食感を出したい料理に向いています。
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白玉粉:水挽き製法で作られるため粒子は不均一ですが、水を加えることで独特の弾力としなやかさが生まれます。つるっとした食感を出したい和菓子向きです。
粒子が細かいほど口当たりはなめらかになりますが、その分、吸水の仕方も変わります。
吸水率の違いに注意する
米粉は、小麦粉と比べて吸水率のばらつきが大きいという特徴があります。
例えば、ある製菓用米粉では水80mlでちょうど良い生地でも、別のメーカーでは100ml必要になることがあります。つまり、同じレシピでも米粉の銘柄を変えた場合は、水分量の調整が必須ということです。
これは小麦粉ではあまり意識しなくてよい点ですが、米粉では重要なポイントになります。最初はレシピ通りに一度作り、その後は少しずつ水を加えながら、生地の状態を確認して調整するのがおすすめです。
米粉の種類と小麦粉の違い|グルテンフリーを選ぶ理由
「そもそも、なぜ小麦粉ではなく米粉を選ぶのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。米粉と小麦粉の最大の違いは、グルテンの有無です。グルテンは小麦に含まれるたんぱく質で、パンのふくらみや弾力を生み出す一方、体質によっては負担になることもあります。米粉にはこのグルテンが含まれていません。
以下に、両者の違いを整理します。
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比較項目 |
米粉 |
小麦粉 |
|---|---|---|
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グルテン |
含まない※ |
含む |
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アレルギーリスク |
小麦アレルギーの代替になり得る |
小麦アレルギーの原因となる |
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油の吸収量 |
少ない(揚げ物が軽く仕上がる) |
比較的多い |
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食感 |
もちもち・しっとり傾向 |
ふんわり・サクサク傾向 |
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ダマのなりやすさ |
なりにくい(ふるい不要な場合が多い) |
なりやすい |
米粉を選ぶ理由は、単に「グルテンフリーだから」というだけではありません。揚げ物が軽く仕上がることや、しっとりとした食感を活かせることも魅力です。一方で、小麦粉は安定した膨らみや扱いやすさがあり、パンや麺づくりには向いています。
※注意:「米粉」と表示されていても、製パン用の一部商品には小麦由来のグルテンが添加されている場合があります。小麦アレルギーの方やセリアック病の方は、必ず原材料表示を確認してください。
米粉の種類別おすすめ商品|初心者でも失敗しにくいアイテム3選
ここまで米粉の種類について理解できたら、次は実際に使ってみる段階です。はじめて米粉を選ぶ方でも扱いやすく、レシピも豊富なタイプを3つ紹介します。
1. 製菓用米粉|ケーキやクッキーに
お菓子作りから始めるなら、まずは製菓用の微細粉タイプがおすすめです。粒子が非常に細かいため、ふるわずに使える商品も多く、きめ細かい仕上がりになります。パンケーキ、マフィン、クッキーなど定番レシピとの相性が良く、小麦粉からの置き換えもしやすいのが特長です。
2. 製パン用米粉|ホームベーカリーにも対応
もちもちとした米粉パンを焼きたい場合は、製パン用米粉を選びましょう。ホームベーカリー対応の商品も多く、初心者でも比較的扱いやすい設計になっています。購入時は「グルテン添加の有無」や「グルテンフリー表記」を必ず確認してください。
3. 白玉粉|手軽なおやつ作りに
気軽に米粉を試してみたいなら、白玉粉も選択肢のひとつです。水を加えてこね、ゆでるだけで完成するため、調理のハードルが低いのが魅力です。フルーツポンチやぜんざいに添えるだけで、家庭のおやつがぐっと広がります。
米粉の種類を知れば、料理の幅は確実に広がる
ここまで、米粉の種類とその違い、選び方のポイントについて整理してきました。米粉は一見すると同じように見えますが、原料や粒子の細かさ、吸水率によって性質は大きく異なります。その違いを理解することが、失敗を防ぐいちばんの近道です。
まずは要点を振り返りましょう。
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うるち米系: 上新粉、製菓用米粉(微細粉)、製パン用米粉
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もち米系: もち粉、白玉粉、道明寺粉
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選び方の基本: 「何を作りたいか」から逆算する
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注意点: 同じ種類でもメーカーごとに吸水率が異なるため、水分量は調整する
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確認事項: 小麦アレルギー対応を目的とする場合は、グルテン添加の有無を必ず確認する
米粉は、特性を理解して選べば、小麦粉とは異なる魅力を発揮する食材です。揚げ物は軽く、焼き菓子はしっとり、和菓子はより本格的に仕上がるなど、料理の幅を自然に広げてくれます。
自分に合った米粉を見つけて、グルテンフリーという選択肢も含めた食生活を楽しんでみてください。